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研究 vs 勘

「増量はとにかくたくさん食べるのが正解」は本当か? 通説 vs 研究

公開日:

執筆: 吉崎 槙吾監修: 染田 智信

「増量期はカロリーを気にせず食べまくるほど筋肥大できる」という考え方は、ジムで根強く語り継がれている。しかし研究は、カロリー過剰が筋肉よりも体脂肪の増加につながりやすいことを示唆している。ダーティバルクは本当に効率的な戦略なのか、エビデンスを3つの論点から検証する。

Round1

大量カロリー摂取(ダーティバルク)は最大の筋肥大をもたらすか

言われていること

ジム・フィットネス系YouTube、ボディビルディングフォーラム

増量期は食べれば食べるほど筋肉になる。カロリーを余らせると筋肉が増えないから、1日に3,000〜5,000 kcalでも食べ続けるべきだ。

VS

研究が示すこと

  • 筋タンパク合成速度には生物学的な上限があり、カロリーサープラスが一定量を超えると筋肥大の追加効果はほぼ頭打ちになる。
  • Phillips & Van Loon (2011) のレビューでは、タンパク質摂取量と筋肉合成の関係にもプラトーが確認されており、過剰な総カロリーは主に体脂肪として蓄積されることが示されている。
  • 現実的な筋肉増加速度(中級者で月0.5〜1 kg程度)から逆算すると、1日200〜500 kcal程度のサープラスで十分とされることが多い。
判定

健康な中級者では、200〜500 kcal/日程度のサープラスで筋肥大の大部分が得られると考えられる。それを大幅に超えるカロリーは主に体脂肪増加につながりやすく、「食べるほど筋肉になる」は支持されない。

信頼度:賛否が分かれる
Round2

体脂肪率が高い状態だと筋肥大効率が上がるか

言われていること

旧来のオフシーズン理論、ボディビル文化

体が大きくなるほど同化ホルモンが多く分泌され、ガリガリよりも太っているほうが筋肉はつきやすい。だからまず体重を増やしてから絞ればいい。

VS

研究が示すこと

  • 体脂肪率が高くなるとインスリン感受性が低下し、同化シグナル伝達が阻害される可能性が示されている。
  • また、体脂肪の蓄積に伴い炎症性サイトカインが増加し、筋タンパク合成を抑制するという報告もある。
  • Barakat et al. (2020) によるボディリコンポジションのレビューでは、体脂肪率が高い状態での同化ホルモン環境の悪化が言及されている。
  • 「太ると筋肥大しやすい」という主張を支持する質の高いエビデンスは現時点では乏しい。
判定

体脂肪率が高い状態は同化ホルモン環境の観点から筋肥大に有利とは言えない。初心者では体脂肪率にかかわらず筋肥大が起きやすいが、中・上級者では体脂肪率を適切な範囲(男性15〜20%程度)に保つほうが有利である可能性が高い。

信頼度:根拠は弱い
Round3

リーンバルク vs ダーティバルク:最終的な除脂肪体重はどちらが多く増えるか

言われていること

伝統的なオフ・オンシーズンサイクル論

ダーティバルクのほうが総カロリーが多い分、筋肉の絶対量も多く増える。最終的にカットすれば同じ量の筋肉が残るはずだ。

VS

研究が示すこと

  • Garthe et al. (2013) がエリートアスリートを対象に実施した研究では、緩やかな減量と急速な減量を比較した場合、急速な減量では除脂肪体重の損失が大きくなることが示されている。
  • これを増量に応用すると、ダーティバルクで体脂肪を大量に蓄積した後の長期にわたる減量フェーズでは、筋肉量の維持が難しくなるリスクがある。
  • 長期的に見ると、リーンバルク(小〜中程度のサープラス)と適度な減量を繰り返すアプローチは、ダーティバルクと長期減量を繰り返すアプローチと比較して除脂肪体重の純増が同等か上回るとする見方が研究者の間で主流になりつつある。
判定

長期的な除脂肪体重の純増は、リーンバルクとダーティバルクで大きな差はないとされる。ただしダーティバルクは後の減量期間が長くなり、その過程で筋肉量を失うリスクが高まるため、総合的な効率はリーンバルクが上回ることが多い。

信頼度:賛否が分かれる

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公開日:

吉崎 槙吾

執筆

吉崎 槙吾

エンジニア / BODYDATAリサーチ担当

エンジニアの仕事は裏付けを取ること。筋トレの通説も、ソースコードと同じで中身を読んでから信じます。

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染田 智信

監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています