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研究 vs 勘

「減量中こそタンパク質を増やすべき」は本当か? 通説 vs 研究

公開日: 2026-06-25

執筆: 吉崎 槙吾監修: 染田 智信

「減量中はタンパク質を多めに摂らないと筋肉が落ちる」という主張はジムやSNSで繰り返される。カロリー制限下での最適なタンパク質摂取量、減量ペース、タンパク質の種類という3つの論点から、研究データとの照合を試みる。

Round1

カロリー制限中にタンパク質を増やすと筋肉が守られるか

言われていること

ジム・フィットネスSNSで広く流布されている通説

減量中は筋肉が異化されやすい。タンパク質を普段より多く摂って(体重×2g以上)おかないと、せっかく作った筋肉がどんどん落ちてしまう。

VS

研究が示すこと

  • Helms ら(2014)によるカロリー制限下のリーンなレジスタンストレーニング実施者を対象としたシステマティックレビューでは、維持量(1.6 g/kg)より多い2.0〜2.4 g/kgが筋肉保持に有効とされる。
  • カロリー制限下ではアミノ酸がエネルギー基質として優先的に使われるため、筋タンパク質合成に回る割合が低下し、実質的な必要量が増加する。
  • Hector & Phillips(2018)のレビューも、減量期のアスリートには2.0 g/kg以上を推奨している。
  • 通説の「増やすべき」方向性は研究によって支持される。
判定

健康なレジスタンストレーニング実施者が減量する場合、維持期の1.6 g/kgより高い2.0〜2.4 g/kgを目安にすることで筋肉保持効果が期待できる。「増やすべき」という通説は研究と一致する。

信頼度:強い根拠あり
Round2

減量スピードと筋肉保持の関係はどうか

言われていること

ボディビルコミュニティ・ダイエット系コンテンツ

減量はできるだけ速く終わらせるべき。長引かせるほどストレスがかかる。急いで脂肪を落としてから増量に切り替えるのが効率的だ。

VS

研究が示すこと

  • 週あたりの体重減少率と除脂肪体重の変化を比較した研究(Barakat et al. 2020など)では、週0.5〜1%程度の緩やかな減量ペースが急速減量(週1%超)と比較して筋肉量保持に有利であるとするデータが複数存在する。
  • 急速減量では脂肪とともに除脂肪体重の損失も大きくなりやすく、ホルモン環境(テストステロン・IGF-1の低下)への悪影響も報告されている。
  • ただし研究間でプロトコルや対象者が異なるため、エビデンスは一定の方向性を示しながらも確定的ではない。
判定

週0.5〜1%程度の緩やかな減量ペースが筋肉保持には有利とするデータが多い。急速減量は脂肪だけでなく筋肉も失いやすい。ただし個人差や研究の異質性があり、断言はできない。

信頼度:賛否が分かれる
Round3

減量中のタンパク質の種類(動物性/植物性、消化速度)で差が出るか

言われていること

プロテインブランドのマーケティング・フィットネスブログ

ホエイプロテインは吸収が速くて筋合成を最大化できるから減量中のプロテイン補給はホエイ一択。プロテインの種類よりも量が重要、という話は増量期の話だ。

VS

研究が示すこと

  • Churchward-Venne ら(2012)のレビューは、ホエイのような速消化性・高ロイシンタンパク質が筋タンパク質合成(MPS)の急性応答を高めることを示している。
  • しかし食事単位・1日単位での筋肉保持への効果に関しては、同等のタンパク質量を確保した場合、タンパク質源による差は縮小するとする研究も多い。
  • 植物性タンパク質は必須アミノ酸プロファイルが異なるため、量を増やすか複数源を組み合わせることで補完できる。
  • カロリーが制限されている状況ではタンパク質の総摂取量を確保することが最優先であり、種類の選択はその次の要素とする見方が研究者の間では一般的だ。
判定

ホエイなど速消化性タンパク質が急性のMPSを高める急性効果は研究で確認されている。ただし総タンパク質量が同等なら、種類による長期的な筋肉保持への差は限定的。減量中も「まず総量を確保、次に質を考える」という優先順位が研究の大勢に沿っている。

信頼度:賛否が分かれる

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公開日: 2026-06-25

執筆

吉崎 槙吾

エンジニア / BODYDATAリサーチ担当

エンジニアの仕事は裏付けを取ること。筋トレの通説も、ソースコードと同じで中身を読んでから信じます。

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監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています